(最終巻までずっと)よい

★★★

2巻の終わりにしてついに脱藩してしまいました。。司馬せんせいの文章に引き込まれてグイグイ読んでしまいます。幕末の事件は他の小説などでも結構読んでいるので、割と知っている方だと自負してましたが、それでも新しい発見が多くあります。
中でも讃岐の剣客、松木善十郎に天下の情勢を説いたくだりは印象に残ってます。以下、抜粋・・。

さらに筆者は補足せねばばらない。この時の竜馬の役割である。当時新聞もラジオも無く、世人は時勢に想像以上に暗かったといったが、竜馬のこのときの役割はいわば新聞記者のようなものである。武市半平太が江戸で取材してきたはなしを、丸亀で伝えているのだ。さらにこれから長州萩城下に行って情勢を取材し、それを高知にもって帰って同志に伝えるのだ。
この当時の有名な勤王の志士というのは、すべてこれである。吉田松陰も、清河八郎西郷隆盛桂小五郎も、そして坂本竜馬も、しきりと諸国を歩き、土地の見どころのある人士と会い、中央地方の情勢を伝播し、全国の同志を一つの気分と昂奮に盛り上げていっている。要するに、史上名を残した志士というのは、足で取材し、足で伝播した旅行家ばかりということになる。